静岡大学の自閉症ボランティアサークルスマイル(以下スマイル)は、自閉症の子どもを対象に交流会や夏のキャンプのボランティアを行っています。コロナ禍で一時期数人まで減ってしまい存続が危ぶまれていましたが、今では34人が所属するサークルに復活しました。活動内容や代替わりについてうかがっていくと、そこには良い影響を与えてくれる先輩の存在がありました。そして、影響を受けた後輩が先輩になり、次の新入生に良い影響を与えていく「循環」があることがわかってきました。 (取材日:4/24 インタビュー 前田)
齊藤ー 代表を務めている3年生の鮎子さんが高校の先輩です。高校生の時に、学校の裏にあった特別支援学校に関わる機会がありました。その時に、大学の実習で来ていた鮎子さんから「スマイルっていうサークルあるけど、静大入学できたら入ってみない?」と誘ってもらったことがきっかけです。
長澤ー 大学の説明会で、当時4年生だった咲恵さん(卒業生)が壇上でスマイルについて話していたのがきっかけです。私の小学校からの友達の弟が重度の知的障がいをもつ自閉症です。大学入学前に、その家族と私で外出したことがありました。それまでも関わりがありましたが、その時は上手く対応できませんでした。幼稚園にもそういった子はいるので、学びの機会にもなると思い入りました。
西ヶ谷ー 大学に入ったら、ボランティアをやりたいと思っていたので、大学のボランティア系サークルに話を聞きに行きました。その中でも、スマイルは言葉を大事にしていて、語りかけてくれる言葉が温かく感じました。当時は大学に入ったばかりで友達も少なかったし、やりたいことだったので入るしかないと思いました。
長澤ー 私が担当している子どもと関係性を築いていたのは咲恵さんでした。6月の交流会、8月のスマイルキャンプは、その子と咲恵さん、私の3人で一緒に行動しました。そこで徐々に名前を覚えてもらい、私と一緒にいても大丈夫と認識されるようになりました。
西ヶ谷ー 学生と1対1が良いという子もいるので必ずしも3人ではありませんが、まずは3人で関係性を作って、徐々に上級生がフェードアウトします。新入生が入るこの時期は、学生がお互いを知る大事な時期です。上級生が、それぞれの学生と子どもの相性を考慮し担当を決めていきます。
西ヶ谷ー 先輩が後輩を指名しないようにしています。やらされるのではなく、やりたいという気持ちが重要なので、必ずその代で話し合って決めています。
齊藤ー スマイルのためになればと思い、副代表を引き受けました。
長澤ー 専門外である幼児教育専修の私が副代表をやって良いか悩みました。現代表の鮎子さん、その前の代表の琴衣さん(現4年生)も、特別支援教育専攻ではありませんでした。その先輩から「任せられるよ」と言われたことが大きかったです。
「やってね」ではなくて、「任せられるよ」と言われたことで、「やっていいんだ」と自信を持つことができたので引き受けました。
齊藤ー 先輩達が築いてきたスマイルもあるので、そこは大事にしていきたいです。学生も子どもたちも増え、まだ全員を把握できていません。咲恵さん、琴衣さんは、常に全体を見ていました。副代表を引き受けたからには、そこを目指したいです。
更新日: 2025/06/13 (金) 10:21